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腸内環境とは?腸内細菌の働きと年齢による変化を40代からのためにやさしく解説

発酵食品や食物繊維を含むバランスのよい食事を取る女性 腸活と発酵食品

「腸内環境を整えよう」という言葉は、テレビや広告でよく見かけます。でも、「腸内環境」とは具体的に何のことなのか、説明できる人は意外と少ないのではないでしょうか。

この記事では、腸内環境の意味、腸の中にすむ細菌の働き、年齢とともに起こる変化、自分の腸の状態を知る手がかりまでを、できるだけやさしく解説します。

「腸活」を始める前の基礎知識として、読んでみてください

3行でわかるこの記事の結論

• 腸内環境とは、腸にすむ細菌の種類やバランス、その働きを含めた、腸の中の状態のことです。
• 腸内細菌は、食物繊維を分解して体に役立つ物質を作るなど、さまざまな働きをしています。
• 腸内環境は年齢や生活習慣で変わります。毎日の食事と生活リズムが整える基本です。

腸内環境とは?

腸内環境と多種多様な腸内細菌の関係を表したイラスト

腸内環境とは、腸にすむ細菌の種類やバランス、その働き、便通などを含めた、腸の中の状態のことです。

医学の正式な用語というより、腸の状態をまとめて表す言葉として使われています。その中心にあるのが、腸にすむ「腸内細菌」です。

腸の中には、約40兆個の細菌がいる

私たちの腸、とくに大腸には、数百から1,000種類ともいわれる細菌がすんでいます。

その数は、以前は「100兆個」ともいわれていましたが、近年の推計では約40兆個とされています。人の体の細胞の数と、ほぼ同じくらいです。

腸の中には、細菌のほかにも、カビの仲間やウイルスなどがすんでいます。

「腸内フローラ」「腸内細菌叢」との違い

似た言葉がいくつかあるので、整理しておきましょう。

言葉意味
腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)腸にすむ細菌の集まり。研究や医療で使われる言葉
腸内フローラ腸内細菌叢とほぼ同じ意味。細菌が種類ごとに集まる様子を「お花畑(フローラ)」にたとえた言い方
腸内環境腸内細菌に加えて、便通やおなかの調子なども含めた、腸の状態全体

つまり、腸内フローラは「腸にすむ細菌たち」、腸内環境は「腸の状態そのもの」を指す言葉だと考えるとわかりやすいでしょう。

腸内細菌の構成は一人ひとり違う

腸内細菌の構成は、人によって大きく違います。年齢、食事、住んでいる地域、生活習慣、飲んでいる薬などが影響するためです。

そのため、「誰にとっても理想の腸内細菌の割合」は、まだわかっていません。

日本人の腸内細菌には特徴がある

東京大学などの研究グループは2026年2月、日本人5,000人以上と世界36か国のデータを比べた研究を発表しました。

その結果、日本人の腸内細菌には次のような特徴が見つかっています。

  • ビフィズス菌が多い傾向がある
  • 9割以上の人の腸内細菌から、のりやわかめなどの海藻を分解する酵素の遺伝子が見つかる(欧米ではほとんど見つからない)

海藻を食べる日本の食文化が、腸内細菌にも表れていると考えられています。

毎日の食事が、腸内細菌の顔ぶれを形作っていることがよくわかる例です。

善玉菌・悪玉菌・日和見菌とは?

腸内にすむ多種多様な細菌の形を表したイラスト

腸内細菌は、よく「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌」の3つに分けて説明されます。

分類 代表的な菌 特徴
善玉菌ビフィズス菌、乳酸菌乳酸や酢酸を作り、腸の中を弱酸性に保つ
悪玉菌ウェルシュ菌、大腸菌の一部など増えすぎると、体にとって好ましくない物質を作ることがある
日和見菌バクテロイデスなど腸の状態によって働きが変わる。実際にはこのグループがもっとも多い

「善玉・悪玉」はわかりやすくするための分け方

この3つの分け方は、一般向けにわかりやすくするためのものです。実際の腸内細菌は、もっと複雑です。

  • 悪玉菌と呼ばれる菌にも、体に必要な働きがある
  • 同じ種類の菌でも、菌株(きんかぶ)によって働きが違う
  • 菌どうしが助け合ったり、競い合ったりしながら、全体でバランスを保っている

大切なのは、悪玉菌をゼロにすることではなく、いろいろな菌がバランスよくすんでいる状態です。

腸内細菌の大切な仕事「短鎖脂肪酸」づくり

腸内細菌の仕事で、とくに注目されているのが「短鎖脂肪酸(たんさしぼうさん)」づくりです。

  1. 食物繊維など、胃や小腸で消化されなかった成分が大腸に届く
  2. 大腸の細菌がそれをエサにして分解(発酵)する
  3. 酢酸・プロピオン酸・酪酸などの短鎖脂肪酸ができる
食物繊維を腸内細菌が食べて分解し、短鎖脂肪酸が作られる流れを表した図

短鎖脂肪酸には、次のような働きがあると考えられています。

  • 大腸の粘膜の細胞のエネルギー源になる(とくに酪酸)
  • 腸の中を弱酸性に保ち、好ましくない菌が増えにくい環境を作る
  • 血液に乗って全身に運ばれ、体のさまざまな働きとの関係が研究されている

このほかにも、腸内細菌はビタミンKや一部のビタミンB群を作ることも知られています。

腸内細菌にとっての「ごはん」は、私たちが食べた食物繊維です。 腸内環境を考えるときに食物繊維が大切にされるのは、このためです。

あわせて読みたい:発酵性食物繊維とは?腸内細菌との関係

腸内環境は体のどんなことに関わっている?

腸内細菌の研究は、この20年ほどで大きく進みました。

ただし、すでに幅広く認められていることと、まだ研究途中のことがあります。

区分 内容
比較的よくわかっていること 食物繊維を分解して短鎖脂肪酸を作る。
便の状態や便通に関わる。
外から入ってきた菌が増えにくい環境を作る。
抗菌薬を飲むと腸内細菌の構成が変わることがある。
関係が研究されていること免疫の働き、肥満や糖尿病、大腸の病気、脳と腸の連携(脳腸相関)など

「関係が研究されていること」の多くは、「腸内細菌と病気に関連が見られる」という段階です。

腸内細菌が原因なのか、病気の結果として腸内細菌が変わったのかは、まだわかっていないことが多いのです。

「腸内環境を整えれば病気が治る」には注意

「腸内環境を整えれば、やせる」「肌がきれいになる」「病気が治る」などとうたう広告も見かけます。しかし、特定の食品やサプリメントでこうした効果が確かめられているわけではありません。

腸内環境は、健康を左右する多くの要素のひとつです。

治療中の病気がある方は、腸活を理由に治療や薬を自分の判断でやめないようにしましょう。

年齢とともに腸内環境はどう変わる?

一人ひとり異なる腸内細菌の構成を表したイラスト

ビフィズス菌は赤ちゃんのころがいちばん多い

日本人367人(0歳から104歳)の腸内細菌を調べた研究(2016年)では、年齢によって腸内細菌の構成が段階的に変わることが示されました。

  • 赤ちゃんのころはビフィズス菌が多く、成長とともに減っていく
  • 大人のあいだは比較的安定している
  • 70歳ごろを境に、高齢者に多いタイプの構成へ変わっていく

腸内細菌は、年齢とともに少しずつ変わっていくものです。 「40代になったら急に変わる」というわけではありません。

40代から変わりやすいのは「生活」のほう

年齢そのものより、注目したいのが40代・50代に起こりやすい生活の変化です。こうした変化は、腸内環境や便通に影響します。

40代からの変化腸への影響
運動量や筋肉量が減る腸の動きが鈍くなり、便秘になりやすい
食事量が減ったり、食事が偏ったりする食物繊維が不足し、腸内細菌のエサが減る
更年期によるホルモンの変化自律神経の乱れなどで、便通が変わることがある
仕事や介護などのストレス、睡眠不足脳と腸は神経でつながっており、おなかの調子に表れやすい
飲む薬が増える抗菌薬や胃薬など、腸内細菌や便通に影響する薬もある

つまり、40代からの腸内環境は、生活習慣で守れる部分が大きいといえます。食事や運動、睡眠を少しずつ見直すことが、将来の腸内環境の備えにもなります。

※薬を飲んでいる方は、腸内環境が気になっても自分の判断でやめず、医師や薬剤師に相談してください。

あわせて読みたい:中高年の「酵素不足」とは?

自分の腸内環境を知る手がかり

腸内細菌は目に見えませんが、毎日の便やおなかの調子が、腸の状態を知る手がかりになります。

便の回数と硬さを見る

便の回数は人それぞれです。毎日出なくても、無理なくすっきり出ていれば、心配しすぎなくて大丈夫です。

便の硬さの目安には、医療現場でも使われる「ブリストル便形状スケール」があります。

タイプ 便の状態 目安
1・2コロコロした硬い便、ゴツゴツした便便秘気味
3・4・5やや硬め?バナナ状・やややわらかめ正常な範囲(とくに4が理想的)
6・7泥状の便、水っぽい便下痢気味
ブリストル便形状スケール。便の形を1型(硬い粒状)から7型(水様)までの7タイプで表したイラスト

1回の便だけで判断せず、数日から1週間ほどの傾向を見ると、自分の状態がわかりやすくなります。

手帳やスマートフォンに簡単にメモしておくのもおすすめです。

市販の「腸内フローラ検査」について

最近は、自宅で便を採って送ると腸内細菌の構成がわかる検査キットも販売されています。

自分の腸内細菌を知るきっかけにはなりますが、次の点に注意しましょう。

  • 病気の診断に使えるものではない
  • 採便した日の食事や体調で結果が変わることがある
  • 会社によって調べ方や評価の基準が違う

こんな症状は、腸活より先に受診を

次のような症状があるときは、腸内環境の問題と決めつけず、医療機関を受診しましょう。

症状 目安
便に血が混じる、黒い便(タールのような便)が出る 早めに受診
便秘や下痢が続く、便通や便の太さが急に変わった 早めに受診
腹痛やおなかの張りが続く 早めに受診
理由のわからない体重減少、発熱、貧血を指摘された 早めに受診
激しい腹痛、大量の血便、吐き気や嘔吐が止まらない すぐに受診。迷ったら救急安心センター(#7119)に相談

また、国は40歳以上の方に、年1回の大腸がん検診(便潜血検査)を勧めています。症状がなくても、検診は定期的に受けましょう。

腸内環境を整えるためにできること

食事や水分補給、散歩、睡眠など、腸内環境を意識した日々の習慣を描いたイラスト

腸内環境を整える基本は、特別なことではありません。毎日の食事と生活リズムです。

詳しい内容は、それぞれの記事で解説しています。

できること ポイント 詳しい記事
食物繊維を摂る腸内細菌のエサになる。野菜・豆・海藻・きのこ・雑穀をいろいろに腸活と食物繊維
発酵食品を取り入れるヨーグルトや納豆、味噌を少しずつ毎日腸活に発酵食品がいい理由
水分をこまめに摂る便が硬くなるのを防ぐ(持病で制限がある方は医師の指示に従う)ー
体を動かすウォーキングなどで腸の動きを助けるー
睡眠と食事の時間を整える朝食をとると、腸が動き出すきっかけになるー
便意を我慢しない我慢を繰り返すと、便意を感じにくくなるー

あわせて読みたい:プロバイオティクスとプレバイオティクスの違いとは?

全部を一度に始めなくて大丈夫です。できそうなことを1つ選んで、続けてみましょう。

腸内環境に関するQ&A

腸内環境に関するよくある疑問を、Q&A形式でわかりやすく解説します。

Q. 腸内環境は、どのくらいで変わりますか?

食事を変えると、腸内細菌の構成は数日で変化し始めるといわれています。
ただし、元の食事に戻れば、腸内細菌も元に戻りやすいとされています。短期間だけがんばるより、続けられる習慣にすることが大切です。

Q. 善玉菌は多ければ多いほどいいのですか?

一概にはいえません。
腸内細菌は、いろいろな種類がバランスよくいることが大切だと考えられています。特定の菌だけを増やそうとするより、食事全体を整えるほうが現実的です。

Q. 毎日便が出ないのは、腸内環境が悪いからですか?

便の回数には個人差があります。

毎日出なくても、硬すぎず無理なく出ていれば問題ないことが多いです。一方、排便がつらい、残便感があるなどで困っている場合は、医療機関に相談しましょう。

Q. おならや便のにおいが強いのは、悪玉菌が多いせいですか?

肉や豆、食物繊維の多い食事など、その日に食べたものでも変わるため、においだけで腸内細菌の状態は判断できません。
急に変わった、ほかの症状もあるという場合は、受診を検討しましょう。

Q. 腸内環境のためにサプリメントは必要ですか?

まずは食事と生活習慣を整えることが基本です。
サプリメントを使う場合は、表示を確認し、薬を飲んでいる方は医師や薬剤師に相談してください。

まとめ|腸内環境は食事と生活習慣を総合的に考えよう

腸の周りに野菜や発酵食品、水、運動靴、寝具を配置し、食事と生活習慣のつながりを示したイラスト
  • 腸内環境とは、腸にすむ細菌の種類やバランス、その働き、便通などを含めた腸の状態のことです。
  • 腸には約40兆個の細菌がすみ、食物繊維を分解して短鎖脂肪酸を作るなどの働きをしています。
  • 善玉菌・悪玉菌はわかりやすくするための分け方。大切なのは全体のバランスです。
  • 腸内細菌は年齢とともに少しずつ変わりますが、40代からは生活習慣で守れる部分が大きいです。
  • 便の回数や硬さが、腸の状態を知る手がかりです。血便や便通の急な変化があれば、腸活より先に受診を。

腸内環境は、毎日の食事と生活の積み重ねで形作られています。無理なく続けられることから、始めてみましょう。

参考情報

資料使った箇所
東京大学大学院新領域創成科学研究科「日本人の腸内細菌は世界とどう違う?」(2026年2月13日)日本人の腸内細菌の特徴
Odamaki T, et al. BMC Microbiology. 2016年齢による腸内細菌の変化(日本人367人)
Sender R, et al. PLoS Biology. 2016腸内細菌の数(約40兆個)
一般財団法人日本予防医学協会「健康に寄与する腸内細菌」(2024年3月)善玉菌・悪玉菌・日和見菌
David LA, et al. Diet rapidly and reproducibly alters the human gut microbiome. Nature. 2014食事を変えると腸内細菌が短期間で変化する(5日間の食事試験、1日で変化)
厚生労働省「がん検診」40歳以上・年1回の大腸がん検診
厚生労働省 e-ヘルスネット「食物繊維の必要性と健康」、現行記事の出典(済生会「便の話」、消防庁「救急車を呼ぶ目安」)食物繊維と腸内細菌、便の観察、受診の目安(現行記事から引き継ぎ)

免責文
本記事は、公的機関・学会などの信頼できる資料をもとに作成しています。
一般的な情報の提供を目的としており、医師の診断や治療に代わるものではありません。
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