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酵素の体内での働きとは?消化・エネルギー作り・分解などを身近な例でやさしく解説

体内で消化や代謝に関わる酵素の働きを示すイメージ 酵素の基礎知識

「酵素は体に大切」と聞いたことはあっても、体の中で実際に何をしているのか、イメージしにくい方は多いのではないでしょうか。

実は、ご飯を消化するときも、お酒を飲んだあとも、筋肉を作るときも、体の中では酵素が休みなく働いています。

この記事では、酵素の体内での働きを身近な例で紹介し、酵素が繰り返し働く仕組みを図解でやさしく解説します。

3行でわかるこの記事の結論

• 酵素は体の中で、消化・エネルギー作り・体づくり・分解などの反応を進めています。
• 酵素は1回働いてもなくならず、同じ仕事を何度もくり返すことができます。
• 酵素は体の中で作られます。支えるには材料になる栄養を食事から摂ることが基本です。

酵素は体内で何をしている?

酵素の体内での働きは、体の中で起こる化学反応を、速くスムーズに進めることです。

このような働きをする物質を「触媒(しょくばい)」といいます。

酵素は「山にトンネルを掘る」役割

化学反応が起こるには、本来「山を越える」ような大きなエネルギーが必要です。

たとえばでんぷんを分解するには、試験管の中なら酸を加えて長い時間加熱するような強い条件が必要です。

酵素は、その山にトンネルを掘ってくれる存在です。

酵素なし=高い山を登る道、酵素あり=山の下を通るトンネル

トンネルがあれば、山を越えなくても向こう側へ行けます。だから体温37℃前後の穏やかな条件でも、必要な反応がすばやく進むのです。

酵素が化学反応を助けられるのは、働く相手である「基質」と結びつき、反応を進みやすくするためです。

酵素そのものはエネルギーにならない

酵素は反応を助ける「仕事人」であり、酵素自身が栄養やエネルギー源になるわけではありません。

エネルギーのもとになるのは、あくまで食事から摂る炭水化物・脂質・たんぱく質です。

体の中には数千種類もの酵素がある

人の体の中で働く酵素は、数千種類以上あるといわれています。酵素は1つずつ担当する相手と仕事が決まった専門職なので、たくさんの種類が役割を分担しているのです。

その数多い働きは、大きく次の4つに分けるとわかりやすくなります。

酵素の働き 具体的には 身近な例
① 消化する 食べ物を吸収できる大きさに分解する ご飯を噛むと甘くなる
② エネルギーを作る 栄養から活動のエネルギーを取り出す 歩く・考える・体温を保つ
③ 体を作る 材料を組み立てて、筋肉や肌などを作る 筋トレ後に筋肉が修復される
④ 分解して片づける 不要なものや有害なものを分解する お酒を飲んだあとの分解

①は「消化」、②〜④はまとめて「代謝」と呼ばれます。それぞれの詳しい中身は、このあとの章で紹介します。

酵素が働く仕組み:「くっつく→変える→離れる」のくり返し

酵素は、担当する相手(専門用語では「基質(きしつ)」)とくっついて、相手を別の物質に変えます。

その流れは、次の4ステップです

鍵と鍵穴のイラスト4コマ。酵素=口を開けたような形、相手=でんぷんの鎖。①くっつく → ②切る → ③分かれる → ④酵素は次のでんぷんへ

ステップ1:酵素と相手がくっつく

酵素には、相手がぴったりはまるくぼみがあります。鍵と鍵穴のように、形が合う相手としかくっつきません。

でんぷんを分解するアミラーゼが、脂質を分解できないのはこのためです。

ステップ2:反応が進む

くっついた相手は、反応が起こりやすい状態になります。

前の章で紹介した「トンネル」を通る段階です。

ステップ3:新しい物質ができる

できた物質が離れると、酵素は元の姿のまま残ります。そして次の相手とくっつき、また同じ仕事をします。

酵素は1回使ったらなくなる「使い捨て」ではなく、同じ仕事を何度もくり返せるのです。

これが、少ない量の酵素でもたくさんの反応をこなせる理由です。

ただし、酵素にも「寿命」がある

くり返し働けるとはいえ、同じ酵素が永久に働き続けるわけではありません。

酵素はたんぱく質なので、時間がたつと分解され、体は必要に応じて新しい酵素を作っています。

古くなった部品を入れ替えながら、工場を動かし続けているイメージです。

だからこそ、新しい酵素の材料になるたんぱく質を、毎日の食事から摂ることが大切になります。

働き① 消化:口から小腸まで、酵素のリレー

食べたものは、そのままでは大きすぎて体に吸収できません。口から小腸まで、場所ごとに違う消化酵素がバトンをつなぐように分解を進めていきます。

場所き 主に働く酵素 起きていること
口 アミラーゼ(唾液) ご飯などのでんぷんの分解が始まる
胃 ペプシン 肉や魚のたんぱく質の分解が始まる
小腸(膵臓から出る酵素) アミラーゼ、トリプシン、リパーゼなど 炭水化物・たんぱく質・脂質をまとめて分解するる
小腸の表面 ラクターゼなど 最後の仕上げをして、吸収できる大きさにする

最終的に、炭水化物はブドウ糖などに、たんぱく質はアミノ酸などに、脂質は脂肪酸などに分解され、小腸から吸収されます。

なお、脂質の消化を助ける「胆汁(たんじゅう)」は、油を細かくして酵素が働きやすい状態にするもので、酵素ではありません。

身近な例:牛乳でおなかがゴロゴロするのはなぜ?

牛乳を飲むとおなかがゴロゴロしたり、ゆるくなったりする人がいます。

これは、牛乳に含まれる乳糖を分解する「ラクターゼ」の働きが弱いことが関係しています(乳糖不耐症)。

分解されなかった乳糖が大腸まで届き、腸内細菌によって発酵してガスが出たり、水分が引き込まれたりするためです。

酵素が1つ働きにくいだけで、体感できるほどの違いが出るということがわかる例です。

気になる方は、温めて少しずつ飲む、ヨーグルトやチーズを選ぶといった工夫で楽になることがあります。

消化酵素の種類や代謝に関わる酵素との違いは、こちらで詳しく解説しています。

あわせて読みたい: 消化酵素と代謝酵素の違いとは?働き・種類と体内での役割を解説

働き②〜④ 代謝:エネルギーを作る・体を作る・分解する

食事から摂ったたんぱく質は、アミノ酸に分解されてから吸収されます。体はそのアミノ酸を組み立て直して、筋肉、肌や髪、血液の成分などを作っています。

この組み立てにも、多くの酵素が関わっています。

筋トレのあとに筋肉が修復されたり、日焼けした肌が生まれ変わったりするのも、酵素が動かしている「体づくり」の一部です。実は、酵素そのものも、この仕組みで作られているのです。

働き④ 分解して片づける:お酒の分解が身近な例

体にとって不要なものや有害なものを分解し、外に出せる形に変えるのも酵素の大切な仕事です。

いちばん身近なのが、お酒(アルコール)の分解です。

お酒を飲むと、肝臓で主に2つの酵素が順番に働きます。

  1. アルコール脱水素酵素が、アルコールを「アセトアルデヒド」に変える
  2. アセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH2)が、アセトアルデヒドを酢酸に変える
  3. 酢酸は最終的に水と二酸化炭素になる

アセトアルデヒドは、顏が赤くなる、動悸がする、二日酔いなどの原因になる物質です。

日本人の約4割は、生まれつき2番目の酵素(ALDH2)の働きが弱いか、ほとんど働かない体質といわれています。

「お酒に強い・弱い」は、酵素の働きの違いが体質として現れたものなのです。この体質は生まれつきのもので、飲んで鍛えても酵素が強くなるわけではありません。

お酒に弱い方は無理をしないようにしましょう。

「代謝酵素」という名前の酵素があるわけではない

②〜④に関わる酵素をまとめて「代謝酵素」と呼ぶことがありますが、そういう名前の酵素が1つあるわけではありません。

また、「消化酵素を使いすぎると代謝酵素が減る」という説明にも根拠はありません。詳しくは「消化酵素と代謝酵素の違い」の記事で解説しています。

酵素がうまく働く条件と、体の調節

酵素はいつでもどこでも同じように働くわけではありません。酵素には、それぞれ働きやすい「温度」と「酸性・アルカリ性の度合い」があります。

温度:体の酵素は体温くらいが得意

人の体の酵素の多くは、体温37℃前後でよく働くようにできています。酵素はたんぱく質なので、温度が高くなりすぎると形が崩れ、働けなくなってしまいます。

卵を加熱すると白身が固まって元に戻らないのと同じような変化です。

体が体温をほぼ一定に保っているのは、酵素が安定して働ける環境を守るためでもあるのです。

酸性・アルカリ性:胃と小腸では得意な環境が逆

胃の中は胃酸で強い酸性になっています。胃で働くペプシンは、この酸性の環境でよく働く酵素です。

一方、小腸では膵液によって胃酸が中和され、弱いアルカリ性になります。小腸で働くトリプシンなどは、この環境が得意です。

場所ごとに、そこで働きやすい酵素が配置されているのです。

体は「必要なときに、必要なだけ」酵素を働かせる

体は、酵素を作る量や働きの強さを、そのときの状態に合わせて調節しています。

たとえば、食事をすると消化酵素を含む消化液が分泌されるのも、その調節の一つです。

また、酵素の中には、ビタミンから作られる補酵素や、鉄・亜鉛・マグネシウムなどのミネラルがそろってはじめて働けるものもあります。

酵素の働きを支えるためにできること

酵素の働きを支えるために意識したい食事・睡眠・運動の生活習慣

酵素は体の中で作られています。そのため酵素の働きを支えるには、「酵素を食べる」よりも、酵素を作る材料と助っ人を食事から摂ることが基本です。

栄養素酵素との関係多く含む食品の例
たんぱく質酵素そのものの材料肉、魚、卵、大豆製品、乳製品
ビタミンB群補酵素の材料になる豚肉、魚、卵、玄米、納豆
ミネラル(鉄・亜鉛・マグネシウムなど)酵素の働きを助ける赤身の肉や魚、貝類、海藻、ナッツ、大豆製品

特定の食品に頼るより、主食・主菜・副菜をそろえた食事を心がけると、これらをまんべんなく摂れます。

なお、野菜や果物、酵素ドリンクに含まれる酵素は、食べると消化されるため、そのまま体の酵素にはなりません。

あわせて読みたい: 食物酵素とは?体内酵素との違いと食品に含まれる酵素の働きを解説

食事に加えて、睡眠や適度な運動も体全体の健康を支える基本です。40代からの具体的な習慣は、こちらで紹介しています。

あわせて読みたい: 40代から知っておきたい酵素の基礎知識

酵素の体内での働きに関するよくある質問

酵素が体内でどのように働くのかについて、よくある疑問をまとめました。

Q1. 酵素は体内で何をしていますか?

体の中の化学反応を、速くスムーズに進めています。
具体的には、食べ物の消化、エネルギー作り、筋肉などの体づくり、アルコールなどの分解に関わっています。

Q2. 酵素は一度働くとなくなりますか?

なくなりません。
酵素は反応のあとも元の姿のまま残り、同じ仕事をくり返します。ただし、時間がたつと分解され、体が新しい酵素を作って入れ替えています。

Q3. 酵素は体のどこで作られていますか?

消化酵素は唾液腺・胃・膵臓・小腸などで作られます。
代謝に関わる酵素は、全身の細胞がそれぞれ必要なものを自分で作っています。お酒を分解する酵素は、主に肝臓で働いています。

Q4. 熱が出ると酵素はどうなりますか?

酵素は体温37℃前後でよく働くようにできています。
高い熱が続くと体のさまざまな機能に負担がかかるため、高熱が続くときは医療機関を受診しましょう。

Q5. お酒に弱いのは酵素のせいですか?

多くの場合、アセトアルデヒドを分解する酵素(ALDH2)の働きが生まれつき弱いことが関係しています。
飲んで鍛えてもこの酵素が強くなるわけではないので、無理に飲まないことが大切です。

Q6. 酵素ドリンクを飲むと体の酵素は増えますか?

増えません。
酵素ドリンクの酵素も食べ物と同じように消化されるため、そのまま体の酵素にはなりません。酵素を支えるには、たんぱく質やビタミン・ミネラルを食事から摂ることが基本です。

まとめ|酵素は体の中で休みなく働く「仕事人」

酵素が基質と結合し、反応後に再び働く仕組みを示した図

酵素は、体の中の化学反応を進める触媒です。私たちが食べて、動いて、体を保っていられるのは、数千種類もの酵素がそれぞれの持ち場で働いているおかげです。

  • 酵素の体内での働きは「消化」「エネルギー作り」「体づくり」「分解」の4つ
  • 酵素は相手とくっついて反応を進め、離れてはまた次の仕事へ向かう
  • 体温や胃・小腸の環境など、働きやすい条件が酵素ごとにある
  • お酒に強い・弱い、牛乳でおなかを壊すなど、酵素の違いは体質としても現れる
  • 酵素は体の中で作られる。支えるには、たんぱく質・ビタミン・ミネラルを食事から

今日の食事で、卵や納豆、魚などのおかずを一品足すことから始めてみましょう。それが、体の中で働く酵素の材料になります。

参考資料

資料裏づける箇所
厚生労働省 e-ヘルスネット「アルコールの吸収と分解」お酒の分解の流れ
厚生労働省 e-ヘルスネット「2型アルデヒド脱水素酵素」日本人の約4割がALDH2の働きが弱い・働かない
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)策定検討会報告書」たんぱく質・ビタミンB群・ミネラルの役割

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